論説

地球は植物の誕生以来、光合成によって供給され続ける酸素によって様々な命を育んできました。ほとんどの元素と反応して化合物を作る酸素は、呼吸する生物にとって必須であり、同時に有害な存在です。その酸素が三酸素というかたちになるとオゾンと呼ばれます。
オゾンの語源はギリシア語で「臭い」。強力な酸化作用で細菌を殺菌し、ウイルスを不活化させます。1923年小川正彦博士によって世界初の医療用オゾンが導入されてから、多くの難治性疾患に有用とされてきました。2008年には新型インフルエンザ予防対策としてオゾンが国から認められています。
2020年7月、世界で初めて宮崎大学の研究チームが低濃度(7ppm以下)オゾン水に10秒間浸すだけで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を約97%以上不活化させることを明らかにしました。
オゾン水は装置と水さえあれば生成できます。また、殺菌や不活化したのちは水に戻るので自然やからだに優しい性質があります。消毒用アルコールの備えがなくても対応できるオゾン水生成機は、これから迫り来る様々な感染症対策として心強い備えになると期待されます。
 
<田中宏明医師>
田中宏明・内科胃腸科クリニック理事長 
九州大学医学部第二内科消化器研究室
九州大学生体防御医学研究所ウイルス学部門修了
日本内科学会、日本消化器学会、日本消化器内視鏡学会、日本抗加齢医学会、
日本病巣疾患研究会所属